馬から学ぶこと④
トップシーズンが終わって、お客様乗馬が少なくなるこの時期。島の農業のサイクル上なのか、また、僕たちが周りの方とも交流を持てる機会が増えるからか、新しい放牧地を沢山紹介して頂けています。
しかも、1000坪オーバーの畑多数!1500坪の牧草地あとから、1900坪のキビ畑あと。馬達はとにかく日がな一日仲間と共に草を食み続けることが出来ます。何と幸せなこと!島の皆様に感謝です。いつもありがとうございます。
そして、調教や次年に向けて群れも少しシャッフルし、色々挑戦する期間でもあります。
その中で、感じる馬から学ぶこと。
今はオスとメスでくっきり分ける構成にしています。3か所に分けており、メスとメス仔馬5頭の群れ、セン馬(去勢馬)4頭の群れに、オス2頭セン馬1頭で計3頭の群れです。
馬との関係づくりをしていくなかで、ハーレムという群れの性質上、メスは基本的に順位付けをきっちりし、継続飼養している環境ではめったなことではその上下は入れ替わりません。ですので、人間側も彼女たちの中で常にリーダーとして振舞えば、そうそう関係性が大きく変わることはないように感じています。
結果、この時期は草刈り部隊として活躍中。とにかく、一日中人のことは忘れるくらい食べて、寝ています(笑)。
変わってオス。今回のシャッフルはセンの中でも非常に力と運動能力の高い1頭が、人側との関係が忙しさや色んな人が関わることによって曖昧になってきていたので、良好な関係性を取り戻すべく時間づくりのため、オス2頭の群れに合流させました。
オスの場合は本能的には繁殖という人生の大仕事を達成するため、いつだってどのオスよりも優位に立とうとするようで、ある程度力量の差で立ち位置がありますが、状況によってそれはころころ変わっています。それは人間に対しても同じで、いつも彼らは優位に立てるすきを狙っているように感じます。(個性や年齢等で程度は異なりますが。)
人間側との関係作りのその前に先住の馬達とのやりとりが待っていました。このセンも合流のこの時は、力強く意地を見せていますが、現在ではもう関係に変化が訪れています。
そんな、純粋無垢でパワフルなオスたちのやり取りから、ヒト科の若いオスである自分もいつもどこかで、誰かより優位に立ちたがっていることに客観的に気付かされています。
そして、安定して優しい場所から不安定で厳しい場所へ。
こちらが勝手に操作した環境変化ではありますが、彼の現状とこれからに寄り添いながら、度重なる挑戦や抵抗の連続からつかみ取る成功と失敗、勝ちや負けの繰り返しでまた磨かれるオスとしての輝きを見つめたいと思います。そして、彼の思いを推し測り、また、彼との関係づくりに熱を込めていきたいと思います。
久米島馬牧場 井上福太郎
馬との運動会②
沖縄にも北風が吹き荒れ、人々は寒いと言って背を丸め、馬たちは風に背を向け何食わぬ顔。
今回は昨年の沖縄タイムスの「唐獅子」のコーナーに連載したエッセイを転載します。子どもと馬・・・子どもとヨナグニウマ、本当に素晴らしい関係を見せてくれます。
馬との運動会②
動物たちと暮らす生活が長いと、彼らから学ぶことが多い。その一つが楽観ということだろう。正確には悲観も楽観もない今だけがあり、その今をいつも心地よく整えることが出来ることである。
最大瞬間風速81メートルを記録した9月28日の猛烈台風、21号。その爪痕が今も残る与那国島だが、人も馬もまずまず平穏な生活に戻っている。馬は香しき青草に鼻を鳴らし、牧場スタッフたちも3度の食事に笑顔する。
前号の話の続きをしよう。小学校の運動会での乗馬演技の様子だ。全校生徒10人の小さな比川小学校。だが観客は多く、島中の人が集まって来る。今年の乗馬演技は、7人の生徒が何の飾りつけもしていない裸馬4頭をロープ1本で引いて走って入場するところから始まった。
校庭の中央で馬を止め、スタートの合図で馬装競争を開始する。馬装とは、馬に鞍(くら)をつけることだ。正確に素早く鞍を付けて騎乗し、ジグザグやジャンプなど障害のあるコースを駆け抜けてゴールを目指す。この順位も、運動会全体の紅白の得点に加算される。
馬装競争の次は、運動場をめいっぱい使っての大技、小技の披露だ。整然と並んで輪乗り(大きな円を書く)、競馬のように走る駆歩(かけあし)、観客は固唾(かたず)を飲む。子どもたちがこんなに速く馬を走らせるとは!
最後は校庭の正面に横一列に並んで、決めのポーズ。全員が馬の背の上に立って両手を離し、思い思いのポーズをとった。与那国馬は小さく、その背は狭い。とても難しい演技だ。観客の拍手が鳴り響く。乗馬演技を目当てに毎年観に来る常連のお年寄りたち(昔は馬と暮らしていた)からの拍手はひときわ大きい。子どもたちの笑顔も飛び切り上等だ!
子供たちは一見、何げなく馬に乗って演技をしているが、これがやってみるととても難しい。練習でうまくいかずに悔し涙を流す子もいた。それでいい。子供たちは知らぬ間に、言葉ではない、心の底から湧き上がる思いを馬に伝えようと、非言語コミュニケーションを発達させていく。それが、その後の人生のコミュニケーションの土台になる。なんと恵まれた子供たちだろう!
2015年10月21日
*これは2015年の運動会での乗馬の様子を書いたものです。
お天気‼︎
私とリクが住んでいる稲美町
与那国と違って
冬は寒いわけで…(*_*)
私も布団からでるというのが
なかなかつらくなりました、
リクは逆に寒い日の方が元気というか
暴れたがります…(°_°)
からだを温めようとしているのかな
問題はお天気!
寒くても雨ふりでなければ
リクはお外に出すのですが…
問題はリクの居場所なわけで、
こんな感じでぐちゃぐちゃです。
リクもこうなると居心地が悪いらしく
鳴き続けているわけです、
で、こっちに移動!
こっちでばたばた走ると芝生が…笑
はげちらかってしまいました(*_*)
リクも私もどろどろ…
雨の日の次の日が
1番大変ですね〜(°_°)
明日は晴れますように☀️
リクの怪我
今回、リクを稲美で飼うことになった
1つの目的として、
怪我の治療があります。
怪我が多く、治りにくいリク、
与那国では治りにくい気候で
治りそうで治らない
そんなリクを稲美で飼うことで
どう変わるか、も
楽しみであります(^^)
10月の19日に帰り、
今日で約1カ月半たちました。
どう変わったかというと…
これでもよくなった時ですね、
いたそ〜〜(*_*)
それが、今は
上の右写真の怪我は完全に完治!
あとはこの2箇所です。
かなり小さくなりましたよね(^^)?
もう、さわっても痛がる様子は
ありません‼︎
完全に完治‼︎
楽しみですね〜(^^)!
バックパッカーと馬⑤ インド・ラダック
今回も前回に引き続き、インドから馬のお話をしたいと思います。
インド北部に中国やパキスタンと国境を接する「ジャンムー・カシミール州」という州があります。ジャンムーもカシミールも地域の名前になるのですが、この州の東側はラダックと呼ばれるチベット文化圏が広がっています。カシミールはイスラム圏、ジャンムーはヒンドゥー圏と、一つの州の中で文化・言語・宗教が異なる、これがインドの大きさなのですが、特にこの地域はヒマラヤ山脈の西端でもあり、山と谷が入り乱れ交通もまだまだ不便な地域です。州の中央部のザンスカールという地域は陸の孤島・秘境としても有名です。
今回紹介するのはその中でもチベット文化圏のラダックの中心の町、「レー」で行われるお祭りのポロについてです。
レーの町は標高が3000mを超え、レーへ向うルート上には5000m級の峠もあります。そのため、冬の期間は陸路での移動が困難になるので、ラダックへ訪れるのは夏がよいシーズンとなります。空港もあるので飛行機でもいけますが、陸路で徐々に高度に慣れていくのがお勧めです。デリーから北へマナリーへ。ダラムサラを経由するのも、チベット文化を知る上ではいいでしょう。(チベットと言えば広場では「ルンタ」がチベットの名前です)当時はマナリー・レー間の移動は陸路で丸まる2日間くらいかかりました。パンク、がけ崩れなどハプニング続きの移動ですが、世界の果てへ向っていくような、そんな景色が窓の外をただひたすらに流れていくのを見ることが出来るでしょう。移動時間であり、観光時間であり、瞑想時間のような、そんな旅です。
そして8月末から9月にかけて、ラダックが暑く、明るく、活気のある時期にラダックフェスティバルというお祭りが、観光客向けに近年は行われています。このフェスティバルのイベントとして開催されるのが、ポロ、なのです。
ポロ、というと、ポロ・ラルフローレンが有名ですね。あのロゴがそのスポーツを端的に表現しています。馬に乗ってスティックをふって球を打つ、馬上のサッカーとでもいうのでしょうか。日本では現在は行われていないようです。選手・施設などがまったく整っていないとのこと。ただ将来は・・・日本でもポロが見れるといいですね。
盛んに行われているのは、イギリスの植民地だった地域が多いようですが、発祥の地、となると、どうやらペルシャ(イラン)の王宮にて発達したのがポロの原型と言われています。ラダックフェスティバルで行われるポロは、イギリスが近代に入って制定したルールと少し違うようでしたが、そんなことはいいでしょう。インドの方がルーツに近いはずです。
ラダックフェスティバル、レーのポロの特徴は、何よりもその競技場の壮大なロケーションでしょう。ポログラウンドに両チームの馬が勢ぞろいし、駆け回るその背後にそびえたつのはチベット、ラサのポタラ宮のモデルとなったと言われるレー王宮。石とレンガで積み重ねられた建造物は、歴史と文化の重みを背負って高く、山々に負けぬようにそびえ立っています。背後にはラダック山脈。極度に乾燥した地域であるラダック、高原といっても緑や水の少ない地域。透き通る空と茶褐色の山々、そんな天空の町の荘厳な王宮、そして馬たち。もう、言うこと無しなのです。
僕がラダックフェスティバルを見たのが2004年と2005年。10年以上の月日が流れ、レーも発展しているでしょうが、ラダック・レーは僕の大好きな場所、TOP3にも入ります。レーのことなど全く知らず、ポロが見られる、という情報だけでヒマラヤの裏側まで行って見たものは、その壮大なポロの景観でもありましたが、中国側のチベットではなくなってしまった、生きたチベット文化圏であり、陸の孤島の中で暮らす人々であり、清く澄んだ世界でした。この出会いが、この時の旅の大きな収穫でした。
馬好きの人なら、この写真を見て、きっとこのポロを見てみたい!と思ったはず。
是非、馬に釣られて、出かけてみて、ラダックの世界を見てもらいたいと思います。色々な旅がありますが、ラダックへの旅は格別です。
馬を追いかけていったら、思いもよらず、自分にとって大事なものに出くわした、ということが起こるかもしれません。これも一つの馬楽じゃないでしょうか。
馬から学ぶこと③
久米島より、井上福太郎です。
繁忙期の夏が終わり、すこしづつやりたかったことを実践出来る季節になってきました。どうしても真夏の彩度の高いロケーションが少なくなるこの季節。そんな時は馬とじっくり向き合う遊びがいいなあと、新しいメニューにチャレンジしています。
その名も「在来馬の歴史と生態から学ぶリーダーシップ研修」。
固すぎです…。
大層なネーミングをしてしまいましたが、内容は馬とコミュニケーションするってどういうこと?それを体感してみよう、学んでみようというコースです。
まずはパートナーになる馬を決めてもらいます。コミュニケートする上で一番大事なのは、馬たちを個として捉え、個と個としてつきあうことだと考えています。
そして、パートナーの観察。この馬はどんな馬なのか、その人なりに観察し、感じてもらいます。
この時間が非常に楽しいんですね。私たちもその人がうちの馬達をどう捉えるかが凄く楽しみで、こちらが得る気づきも本当に多いです。
そのあと1対1で実際に目標を設定して、馬と共に達成にチャレンジしてもらいます。今回はA地点からB地点へ馬を連れていくというもので、そこにたどり着くまでには簡単なゲートを越えて行かなければなりません。
今回は3名様のエントリーで、正に三者三様のアプローチが非常に面白かったです。餌でつる人、動きで注意を引く人、ささやきお願いする人。馬の動きも様々で、警戒して近づかない馬、なにもしないでも通ってしまった馬、ひたすら草を食べる馬。
そこに台本はなく、誰も先を予測できない一瞬一瞬がこの生身の生き物とのコミュニケーションの一番の醍醐味です。
こちらも想像し得ない現場のアクションに皆が盛り上がりました。
最後にはグランドでのやりとりを活かして乗馬へと移行しましたが、最終的には皆様前半のやりとりがとにかく楽しかった、想像したのと全然違ったとの感想を頂き、初回にしては大成功となりました。
こののんびりしたシーズンに、学びの多いコミュニケーションプログラムをもっと濃い~ものにしていきたいと考えています。