読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





THE BAGAKU :馬楽のすすめ その6 人生に棒を振る

             

          暑中お見舞い申しあげます。

 

f:id:hisanomarkun:20140730055939j:plain

       *朝焼けの中の与那国馬、東崎にて8月


 今夏は早々に強烈な台風がやって来た。7月8日の台風8号沖縄本島を強烈な暴雨風で襲い、マンゴー最盛期の農家を脅かした。それはともかく幸いにも本島の牧場の馬たちは無事でした。だけど眺めのいいテラスの屋根が見事に折れて落ちました。すぐに崩れ落ちることもないようですが、毎朝眺めてさてどう修理するか考えています。なんだか最近は前代未曾有の台風や大雨が発生しています、備えあれば憂いなし、皆様方もお気を付けください。

 こんな台風が来るたびに思うんですが、停電だ、家が飛びそうだ、雨漏りだと言いながら騒いでいる現代ですが、昔の沖縄、100年前1000年前の椰子の葉の掘立小屋に住んでいた頃とか、どうやってこの台風を過ごしていたんだろうかと考えます。実は馬のこともそうです、100年前、1000年前、さらにさかのぼって人が馬を家畜化したといわれる5000年前の人たちの馬の扱いや馬への思い入れなんかをよく考えています。

 さて表題の「人生に棒を振る」とは「人生を棒に振る」のもじりですが、今与那国島の馬広場の運営が危機に陥っています、お客様はたくさんみえますが牧場長夫妻がこの8月いっぱいで独立することになって、新人を2名採用したのですが、夏の暑さにダウン、戦列を離れることになったのです。それで急きょ人手が不足になりました。馬のインストラクターの経験者場長が欲しい! 体力に自信のある方が欲しい! そして欲を言えば、馬広場をしょって立つ後継者が欲し!なのです。
 で人生に棒を振る話ですが、この日本最西端の離島で日本の希少な在来馬の与那国馬の保存と活用、未来型の人と馬の関係を築くべく仕事を一緒にやってみませんかということなのですが。どうせ一度の人生だと、後悔無く、世の為人のため、楽しく、幸福に最高の人生を送るためには、人生を棒に振るぐらいの生き方をしてみないと得られないのでは、その前にまずは棒を振ってみなくては話が始まらないのではと思う親方なのです。
 与那国馬に30年付き合っていますがたくましく、感受性豊で数多くの資質を持った馬だと確信しています。それに可愛いですね。与那国馬は小さな馬ですがそれが安心感を与え子供や初心者の方に好まれるのです。でも小さくても足腰は強く走るのも速く、長距離のトレッキングにも耐え、経験者も満足させます。また我々の長年の活動により、また生き物に癒しを求める時代になり与那国島に馬に会いに来る方、乗りに来る方も随分と増えました。時代が与那国馬を求めているような気がします、未来は広がっています。

f:id:hisanomarkun:20140731105851j:plain

 そこで人生に棒を振った親方の話ですが、今年で33年を迎える南の島の馬暮らし、30歳で小さな新聞記事(与那国馬絶滅の危機・過疎化)に触発され、よし俺は行くぞと、大きな決心でやって来た与那国島。頼る人もいなければ、貯金もない、まして馬のことも知らない、無い無いづくしでしたがどうにかやって来れました、どうにかなるものです。あるのは馬に乗って遊ぶ夢だけ。やっと手に入れた与那国馬と遊ぶ時間は幸せでした。そしてこんなに楽しいことは皆と一緒にしなくてはと馬広場を立ち上げたのです。以来大勢の助っ人さんたちに支えられここまで来れました。お手本のない馬暮らしは、試行錯誤、抱腹絶倒、波乱万丈の何でもありでしたが、実に楽しいものでした。そんな中から、奇想天外な海の中での乗馬も生まれたし、学校での乗馬クラブや障害者との馬遊びも生まれました。海馬遊びは今では沖縄の名物になり、日本全国にも広がっています。
そんな親方は思うのです、よく頑張ったねと、そして与那国馬の未来を創るため、人と馬の未来を創るためにはオヤジは馬広場を次世代に譲るべきだと。人生に棒を振ってみたい、若者・馬鹿者待ってます!
                              2014年8月8日
                           親方こと久野マサテル


*この文章は馬広場の季刊誌「ふがらっさー」86号に記載されたものに加筆しました。