日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





日本馬巡り

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 親方ことマークンです。ただ今沖縄本島南城市のうみかぜホースファームにいます。ここは今日も朝から農霧、我が家の山羊も霧の中。

 プリンスが逝ったり、与那国島の友達が逝ったり、熊本は地震だったり、トラクターで耕した表土が大雨で流れたり・・・、何と目まぐるしい毎日よ。そうであっても馬飼いは馬に草を刈り、ボロを片づけ、グルームをする。

 「馬楽のすすめ」今回も沖縄タイムス「唐獅子」のコーナーに寄せた4回目。「日本馬めぐりの旅」をお届けします・・・。

 

 1頭だった馬が、島の人の好意でどんどん増えていった。1人での馬遊びが口コミで日本中にどんどん広がり、大勢の人が集まってきた。しかし乗馬は相変わらず島の人からは好奇の目で見られ続けた。無理もない。昼間から馬に乗るのは人頭税の時代から税を取りたてる士族か、仕事をしない怠け者と相場が決まっていたからだ。平民にとって、馬は仕事のためにあったのだ。

 馬に乗って通りを歩いていると、時には嫌がらせもあった、ダンプの兄ちゃんが僕の後からエンジンをふかし、あおって来るのだ。当然馬は暴走、僕は必死にしがみつく。おかげで僕の騎乗技術は格段に上達した。

 しかし子供は正直だ。僕が馬に乗っていると近づいてくる。乗るか?と聞くと頷き、1人を乗せると、あちこちから子供たちが集まって来るのだ。馬に乗った彼らの笑顔は最高だ。ほどなく、近所の小さな公園で乗馬会を開くようになった。

 それは楽しく、意義のある仕事だと思った僕は、ついに仕事を辞めて馬と遊べる施設を造ることを決心した。だがその前に、知りたいことがあった。在来馬を飼っている人に会いたい。子供乗馬の現場を見たい。そこで助っ人2人に馬を任せ「日本馬めぐりの旅」に出かけた。島に来て15年がたっていた。小さなバイクにテント一式を載せて、一気に北海道に渡ってから南下した。

 日本にいる在来馬は8種。北海道の道産子、長野の木曽馬、愛媛の野間馬、長崎は対馬対州馬、宮崎の岬馬(御崎馬)、鹿児島のトカラ馬、そして沖縄の宮古馬と与那国馬である。在来馬が生き延びた所はへき地という土地柄、外来の西洋馬と交雑せず和種馬の血が守られた。

 いろいろまわってみたが、教育目的で子供乗馬をしているところはほとんどなかった。一か所だけ、福島県の山の中にあるというので行ってみた。日本全国から「牧場留学」に集まった子供たちが、早朝から馬の世話し、1時間歩いて学校へ通い、帰って来て馬の世話や乗馬をしていた。子供たちの目は輝いていた。以来ここが僕の馬活動の道標となった。福島原発被災地となってしまったここは現在活動をやめている。残念だ。

                          2015年8月12日