日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





小さな町の小さな馬広場の可能性3

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日曜日担当、久米島馬牧場より井上福太郎です。久米島の梅雨はどこ行った!?という夏のような天気が続いております。GWが明けてからお客様も少なくのんびりタイムが続いております。

そんな中好天が続いているので、月末に行われる馬クラブの子供達が初参加する琉球競馬ンマハラシーのための練習や、毎月定例のビーチクリーン、畑作業などに勤しんでおります。

さて、今回は初回よりお話ししておりました未来の「小さな町の小さな馬広場」の可能性について、最後の馬に学ぶ編についてお伝えしてこのテーマを終わりにしたいと思います。

 

前回まで、馬と暮らす編では馬を飼うにあたり、循環を第一に考えた持続可能性の高い馬の飼養に関して。そして、馬と遊ぶ編ではローカルに特化した付加価値の高い馬遊びの提供における馬広場の運営に関してお伝えして参りました。

 

最後に、自分たちが一番重要だと考える地域における馬広場が担う役割について考えてみたいと思います。現在小さな町でも少なくなってきいる、パートナーとしての家畜である大型哺乳類が身近にいるという暮らし。あっても経済動物として生産を目的に飼養される家畜の存在がほとんどです。

その中で、使役動物として活躍してきた在来馬はかつて非常に重要なパートナーとして家族の一員であり、一家にとって最重要資産でもありました。

現在、自分たちにとってもそれは全く同じ意味を持っています。

また、共に暮らす上で非常に社会性の高い動物であるが故に繊細なコミュニケーションを取ることが不可欠です。

 

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そのような点から彼らとの付き合い方から学ぶことは、決して子供だけでなく、大人の教育にも重要な要素を沢山含んでいると考えています。

また、それは小さな町の社会福祉に関しても沢山の可能性を秘めていると感じています。

 

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実際、与那国ではマークンが始めた子供の乗馬や、町民の乗馬が「日曜町民乗馬会」や「比川小学校馬倶楽部」として、人は変われど馬から馬へと活動は脈々と続いております。

それは、子供たちの教育や、社会福祉の観点で様々な効果を発揮しているのです。

馬広場という場所は公園にもなり、学童にもなり、子育て支援センターにもなり、多義の避難所ともなるような場所になり得るのです。

 

域内循環を意識した自然との調和と持続可能な馬との暮らし、高付加価値の馬遊びによる経済的に豊かな暮らし、そして、そこから生まれる余剰を活用した教育や福祉という分野での域内投資における還元。この3つを実現していくこと。これが未来の馬広場がもつ大きな可能性だと考えています。

 

自分自身、人生で初めて馬と真剣に関わり、馬と生きると決めてから沢山のことを学んできました。そして、今も学び続けています。それはそれまでの人生で獲得してきたものがそれほど重要ではないと知る経験でもありました。

 

生き物としてシンプルに生きる。

 

当たり前だけど現代社会では中々気付くことの出来ないことだと思っています。そしてまた自分にとってはこれが一番大きな学びでした。

 

今後、この未来の「小さな町の小さな馬広場」の可能性の広がりが、沢山の町の人達に近くに馬がいる当たり前を実現させるかもしれません。

 

そして、また大親方は一つの予言を呟きました。

 

“じゃあ、自分たちで学校をやったらいいさ。”

 

そして、また次世代へと。馬広場の未来は続きます。

長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。

 

 久米島馬牧場 井上福太郎