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日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





馬と遊ぶ子ら

久野マサテル

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 梅雨の合間の早朝、こんなにすごい虹がかかった。一枚では収まりきれない大きな虹、人の目はいい、ぜーんぶ見える。しかしこんなすごい虹も馬には・・・。

 梅雨はやらねばいけない仕事がいっぱいある。牧草地に新しい種を播くこと。夏が来るまでにお客様のテラスに日よけを付けること。新しい馬を迎え入れるために小屋を新調すること・・・。やることがいっぱいあるということは、歳なんか考えてられない。

 そして今日の「馬楽のすすめは」第5回「馬と遊ぶ子ら」、沖縄タイムスの唐獅子のコーナーに載せたものです。

 

「馬と遊ぶ子ら」

 人が馬を家畜化するようになって五千年と言われている。そしてその5千年の間、人は馬を戦争の道具として使い続けてきた。先の大戦でもそうだ、馬に召集令状が届き、飼い主は国のために愛馬を泣く泣く差し出した。その心中は計り知れない。召集された馬は中国大陸や南方の島々に赴いた。その数50万頭と言われている。そして終戦、一頭の馬も帰って来なかった。僕はその事実の上に立ち、この活動を行っている。

 話は変わってこの夏、二つの団体が内地の子供たちを大勢連れて与那国島にやって来た。もちろんヨナグニウマと遊ぶのが一番の目的だ。朝7時、朝食のおにぎりをほおばって集合。馬のボロ(馬糞)を拾い、馬の草を刈り、馬にエサを上げ、馬にブラシをかけ、そしてやっと馬に乗る。

 与那国島を馬に乗って歩くのは爽快だ。草木に囲まれた農道を歩く。海辺の道を潮風を受けながら歩く。牧場に帰って牧草地を思いっきり駆ける。そしてスペシャルメニューは海の中での乗馬だ。海馬(ウミウマ)遊びと名付けた。この遊び、馬に乗って海に入る、汗をかいた馬たちは海の中で目を細めくつろぐ、人もくつろぐ。そしてスペシャル中のスペシャルは海の中で歩く馬のシッポにつかまってスイスイ泳ぐことだ。名付けて「シッポッポでゴー」実はこの遊び、今では沖縄中の馬の施設で夏のメインメニューになっている。内地でもやっているところが出始めた。話は子供に戻ろう。与那国島で馬の世話をし、乗馬をした子供たちは日が経つにつれ、その笑顔にたくましさが出てくる。まるでモンゴル草原の子供のように。

 乗馬は彼らに勇気を与え、ブラシ掛けは愛を育て、草刈は仲間との友情を育て、ボロ取は労働の楽しみを知る。そして結果馬への思いやり、人への思いやりにとたどり着く。

 滞在の最終日は暗くなるまで牧場で遊ぶ。子どもたちは、帰りたくないと懇願する。僕らはそんな彼ら一人一人にベタ褒めのコメントと「ヨナグニウマ・パートナーシップ証」を厳かに授与する。かがり火に照らされた子供たちの頬は皆涙で光っている。

                       親方マークン