日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





旅路

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こんにちは。
日曜日担当、久米島からサノちゃんです。

今年は暑い時期が長いですね。
10月に入っても連日の32度…暑いです!

そんな秋とは思えぬ暑さの中、また1頭のヨナグニウマが与那国から新天地へ旅立ちました。

馬を家族に迎え入れる為に彼女が今までコツコツと準備してきたこと、
この1ヶ月の与那国での待機期間と自宅までの長い長い旅路。
不安と緊張と喜びと。

私も今まで何度も馬たちの旅に同行してきたので、与那国から発つ馬がいると、あのときの光景、気持ちがいつも鮮明に思い出されます。

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そして今後も含め、与那国から馬を迎え入れる方にぜひ体験してほしいのは、
事前に与那国で馬たちと暮らすこと。
共に与那国を出発し、共に旅をすること。

ヨナグニウマがどのような歴史を持ち、どのように故郷で暮らしているのか。
ヨナグニウマを育む与那国という場所に身を置き、
彼らのことを深く理解し受け入れる為にも与那国での馬修行は必須だと思います。

馬を飼ったことがあっても、上手に乗れたとしても。
馬の仕事をしてきたことがあっても。
与那国で生きてきたヨナグニウマは全く違うんです!

加えて自分のパートナーになる馬がどんな風に生きてきたのかを見聞きし、
今まで関わってきた人たち、家族や仲間の馬たちに会えるのは与那国ならでは。

その自然で平和な、幸せな日常から馬を連れ出すということ。

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生まれ育った島を、お母さん馬や仲良しの馬から離されて突然旅立つということ。
今まで面倒を見てきてくれた顔見知りの人たちに励まされ、
緊張のなかコンテナに入り、フォークリフトやクレーンで宙に浮き、船上または船倉へ。
馬にとっては文字通り大地を離れるときです。

港から離れていく船から島を見たら、
「あぁ、もうこの子はこの故郷には戻ってこないんだな」
と心が震えます。

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船上や停泊港での馬たち。
コンテナの中で何を考えているのでしょう。
しばらくぶりに様子を見に行くと、
「あ!知ってる人だ!」
と目を見開いて、色んなことを語りかけてくるような表情をします。
会いに行く度に、大丈夫?がんばれ!と励まし続け…。
もう少し、あと少し…と無事に少しでも早く到着することを祈ります。

輸送の度に様々な出来事が起きて、馬にも人にも非常にハードな数日間です。

でもこの旅を共に乗り越えたとき、選ばれて自分の元にやって来てくれたその馬に対して、
無限の愛情と責任感で胸がいっぱいになるはず。

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ようやく揺れない地面に降りたって、あぁ、もう移動しなくていいのかな、
と、ひとまず落ち着けたときの馬たちのヘトヘトな姿は忘れらません。
新しい場所への興味深い行動も(笑)

ヨナグニウマを家族に、仕事のパートナーに選んだ 方へ。
ぜひ、この長く険しく幸せな旅を共に!!

久米島馬牧場
井上 恵子