日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





馬から学ぶこと①

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いよいよ11月、3、4日前まで32℃を指していた久米島ですが、暑い暑い夏はようやく終わりを告げそうです。

海には入れなくなる寂しさは残しつつ、また来年を楽しみに、ゆとりの出来るこれからの時間をなるべく有意義に使えるよう丁寧に時間を使いたいと考える秋の夜長です。

この馬楽のすすめも飛ばさぬよう、と思いながらも日付が変わってしました。

馬暮らしの中でふと気づかされる、未熟な自分が馬から学ぶあれこれ感じたことをお話出来たらと思います。

久米島馬牧場では、馬達は必ず群れで放牧で馬達を飼養しています。もともと群れで生活する社会性の高い馬達の間では、毎日色んなことが起こり、色んなことを話し合っているように感じます。

そして、人がその群れの中にお邪魔する間、それは馬の社会の中に介入する時間でもあります。

飼いつけの時、馬を囲ったり繋いだりせずに飼料を与えているうちの牧場では、餌時に顕著に馬達の関係性やポジションが見えてきます。

その関係性やポジションを意識して飼料を与えなければ群れの秩序は乱れ、混乱してまともに飼料を与えることが出来ません。よって、自ずと群れの中の色々を考えなければ上手くことが運ばないのです。

そうやっていつも群れの中で起きている変化や気付きを感じてほしいと牧場に訪れる実習生やファームステイのお客様にはお伝えしています。

餌前のひとこま。現在8頭という、今年久米島でも一番頭数の多い群れの編成を試してみたこの放牧地。牝馬とセン馬のいびつな群れですが、牝は子馬も2頭になり、牝のファミリーを基調にした群れとなっています。

セン馬で一番力のあるダイと、牝馬で力のあるマドカ(決して群れのリーダーという訳ではありません。)が先頭で他の馬達をよせつけません。この2頭常にとにかく容赦がありません。

が、しかし。当然のようにいるユリカ(1歳7ヶ月)と、フラフラと何気なく先頭に入るマメ(9ヶ月)。

そして、子馬に対しては何の反応も示さず受け入れる力のある2頭の姿。

このところ、この一瞬にはっとさせられています。
ただ、子馬が上手に大人の馬にすり寄ったり、隙をみたりして前へ来ているというだけではない。
とにかく大人の馬には容赦ない力のある馬達が見せる子馬に対するこのあまりに自然な態度。これは群れの社会性の中で子馬のもつ優位性がはっきりと現れる瞬間だと思っています。

こういうことが当たり前のように自然に出来る馬達から、自分はいつもはっとさせられ、内省するきっかけをもらっています。

また、いつの段階からこの子達が蹴散らされるようになるのか、そんな楽しみがまた止めどなく湧き出るのです。

この馬が見せてくれる生き物として当たり前の姿勢から見習うことが山のようにあると感じています。では無いですか?今の日本社会よ。

と愚痴ってみたくもなる秋の夜長でした。

久米島馬牧場 井上福太郎