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日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





馬守り人


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 沖縄は異常に暖かい日が続いて幸せだったが。今日は例外寒い! カメレオンみたいな変温動物の僕はもう動きたくない。

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 今年も始まっています子どもたちの乗馬。 見てくださいこの活気、この楽しそうな様子。寒がりの僕も負けてられません、がんばるぞー!

 以下の文章は2015年12月に沖縄タイムスの「唐獅子」のコーナーに寄稿したものです。現在の物ではありません。

 

【唐獅子】馬守り人  

 猛烈な台風直撃から2カ月が過ぎた与那国島は一見、緑が戻り元に戻ったようだが、島を歩くとまだ壊れた牛小屋や赤茶けた山肌が広がり、風力発電の羽根ももげたままだ。 知人の昆虫の専門家によれば蝶や虫の種類も少なくなっているらしい。ヨナグニウマの生息地でも、馬の屍(しかばね)や、傷ついて仲間から外れ、一頭で草を食(は)む馬を見た。台風の傷跡はまだ残る。

 今日は馬の仕事に就く人の話をしよう。 動物を飼うのは。大変ですね、とよく言われる。その度に「好きでやってますから」と答えるが、本当は大変な時もある

 その一つに、けがをした馬の治療がある。我々の牧場でも夏にアブ等の刺し傷が雑菌感染でみるみるうちに大きな傷口となり、なかなか治らない。この環境でアブを発生させないのは無理な話だ。スタッフは毎日、一日でも早く治そうと、薬を遠くから取り寄せたりしながら奮闘する。その姿には本当に頭が下がる。

 そして気がついたのが、ただれた患部を治療するスタッフに馬は痛がる様子もみせず、むしろ寄り添うようにじっとしている。

 馬の仕事に就きたい人は年々増えているようだ。ホースセラピストになりたいからとか、地域おこしに馬を使いたい、という立派な志があるのだが、そういう方ほどどうも長く続かない。毎日の草刈りや夏の暑さ、長時間労働が想像していたのと違うという。給料も安い。先日東京で行われた「動物介在教育・療法学会」でも、馬に従事する人たちの給与の低さをどうにかせねばという話が出たほどだ。

 では今いるスタッフは、なぜ献身的に働いているのだろうか?それは志が高いから、ではない。馬が好き、なだけでもないのだ。

 馬に子供たちを乗せてみて、初めてわかることがある。最初はこわばっていた子の表情が、馬の背に揺られるごとにだんだん緩み、降りる時には満面の笑み。この一瞬で、我々の仕事は報われる。草刈りもボロ掃除も、暑さも、低賃金もすべて。

 あの笑顔がたまりません、とスタッフは言う。志の高さだけでは馬の仕事は続かないが、馬と共に人を癒やし楽しませて、知らぬ間に笑顔あふれる自分がいる。僕の言葉で「利他的乗馬」という。