日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





継続は力なり

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とにかく暑い!今年の沖縄。
最高気温34度なんて日が訪れるようになってしまっています。
本州に比べて最高気温が低く、また、快適な風のなかにいると涼しく過ごせる例年では、お客様と「夏の沖縄は避暑地ですね。」なんて会話が常でしたが、そんなこと言ってられなくなるのではないか!?

このままいくと本当に夏は海馬遊びしか出来なくなってしまうかもしれません。と、つくづく親方の始めた海馬遊びの素晴らしさを実感する日々です。

さて、おかげさまで世間様が夏休みに突入し、久米島でも東京-久米島の直行便が就航となり毎日忙しくさせて頂いている久米島です。

そんな久米島馬牧場でも6度目の夏となりました。自分としても馬と共に海に入らせて頂く経験も6度目のシーズンに突入しました。元々海の仕事をさせて頂いていたことと、馬牧場初代の2頭は驚くほど海には慣れていたこともあり、初年度は海馬に対して難儀することは全く無かったのですが、2年目から、和歌山帰りのヨナグニウマ2頭のククルとダイが加入することで状況は一変しました。

生まれ育った与那国でも海には親しみ無く育った上、和歌山では海に入ってこなかったため、1年目の2頭は常に緊張の中での海馬遊びになりました。
いつもお客様から「馬って海は平気なんですか?」という質問を頂きます。乏しい経験値の中から思うことですが、当然個体差によるところが大きいでしょうが、どの馬も初めての海は怖いのではないかと思っています。人間を含めた陸生の生き物はみんなそうじゃないかと思います。全く記憶にありませんが自分もそんな時があったのでしょう。

波は迫る、水はしょっぱい、足元は見えない、得体のしれない生き物がいる、深くなる。

馬だって色んなことを考えていると思います。怖くないわけがありません。1年目は苦笑いしながら「暑い日に海に入るのが気持ち良いのは人と一緒ですよ~。」なんて、リードを持つ手をプルプルさせながら共に仕事をしたことを思い出します。

そんな2頭も、1年1年経験を重ねるごとに毎年変化をしていきました。どの年も間違いなく去年より色々なことを受け入れていっていることがはっきりと分かりました。でも、自分もリラックスして共にお仕事が出来るようになったのは昨年の4シーズン目からでした。

そして、今年の5シーズン目。見違えるような冷静さと、仕事に対する理解を見せてくれているのです!5年というかかった月日は長いのかもしれませんが、馬にとっても年で一時期しかしない特殊な仕事。毎年毎年このシーズンはドキドキしていたのでしょう。

今年は新人の担当馬になったこともあり、客観的に彼を見ていますが、微笑ましいことに海の地形や潮位による海の変化を知る彼の方が今度はスタッフに海馬遊び何たるやを教えています!
そして、自分と共に仕事をする日は最高のパフォーマンスで、経験するどのお客様にもこのかけがえの無い経験を提供してくれています。

この経験は僕にとっても、どんな馬も情熱と時間をかければ変化し受け入れる力を持っているという確信をもたらしてくれました。これからもかけがえの無いこの仲間たちともっともっとミラクルな未来を作っていけたらと思う今年の夏です。

それにしても、馬の傷は癒える。虫を寄り付かせない。気持ちいい。負荷が少ない。涼しい!
やっぱり海馬遊びは最高です!!

久米島馬牧場 井上福太郎