日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





シンノスケ

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ようやくカラッと清々しい気候になりました、
久米島からサノちゃんです。

今回は我が家から1頭の馬をご紹介します。
彼から学ぶ、馬楽です。

シンノスケ。

言わずと知れた(?)久米島馬牧場を代表する馬。
私たちにとってスペシャルな馬です。

何がスペシャルかって、もちろん、彼と出会ったことで馬牧場を始めた福ちゃんですから、そもそも全ての始まりの馬。

でもそれだけではありません。

彼と出会って、乗ったり一緒に何かをしたり、コミュニケーションをとった人は誰でも(馬初心者の人でも)みんな彼の素晴らしさに気が付くのです。

それはとても言葉では言い尽くせない沢山の魅力なのですが、私にとってシンノスケの素晴らしさ、それはいつも気付かせてくれること。
必要なタイミングで、思ってもいなかったことを。

本当に今まで何度も予想や先入観を覆されました。
期待をいとも簡単に、思いっきり越えてくれました。

初めてシンノスケに会ったとき、「え!こんなちっちゃいひょろっこいポニーで営業するの?!(福ちゃん正気か…?←心の声)」と思いました。
当時のシンノスケは、牛舎の隅っこで繋がれて牛と犬の間のような存在(笑)
体もあちこち不具合が。

半信半疑で、やるしかないと腹をくくり(笑)世話をし始め、乗り始め…。
歩くのすらおぼつかない彼に、「まあ、子供が乗って散歩できればいいかなぁ」と思っていた私。
それが。

油断していたら乗ったまま藪に突っ込んでいったときの冷や汗。
毎日ひたすら歩いていた山坂を、ある日とうとう駆け足で登りきったときの感動。
ヘビメタの生演奏ステージの横を、こちらの心配なんて屁にも思わぬ(失礼!)素振りで平然と子供を乗せて曳き馬した乗馬会。

無事に会場に着いたらもう満足だねーと話していたンマハラシーで、あれよあれよという間に勝ち上がり、緊張する私に対して冷静に的確に指示に応えてくれたシンノスケ。
あんなに乗っている馬を心強く思えたことはありませんでした。

1才でも乗れる馬。走ったらヨナグニウマ並みに走る馬。誰の話でも聞いてくれる馬。放牧地では自分の世界と他の馬への威厳を見せてくれる馬。

そして今、アトピー性皮膚炎で療養をしているシンノスケ。

こちらの勝手な気遣いで仕事から離してみたことで、状態を悪くさせてしまいました。
反省することは多いけれど、これもまた経験。

いつだって何かを気付かせてくれる。
考えるキッカケをくれる。
常に未来を教えてくれる。

私にとって、シンノスケはそんな存在です。
大切な大切な馬なのです。

久米島馬牧場
井上 恵子

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写真はどちらも我が家に来た頃のシンノスケ。(とベッカム。)