日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





恋する季節

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 日がどんどん長くなり、お家に帰るのがついつい遅くなってしまいます。
暖かい季節に向かって、なんだかんだ1年通してせわしなく動き回っている久米島馬牧場から、井上福太郎です。

3月は与那国、浜比嘉、本島出張で怒涛の日々が続いています。

与那国では台風の被害の再建や、放牧地の拡張などアライアンスとして協力作業に勤しんでいました。皆で一つの目的を持って汗を流すのは非常に心地よい!

そこに生き続ける馬たちの中で、日が昇ってから日が沈むまで、皆で笑いながら作業し、夜は美味しいお酒を飲みながら未来を語る。そんな当たり前の幸せが感じられるこの与那国島の広場の素晴らしさをまた再確認した出張でした。

そして、そこには今も変わらず素晴らしい仕事をし続ける馬たちと人たちがいる。皆で協力し合ってこの大切な場所を今後も守りたいと思います。

 

さて、最近の久米島では、初めてのお仕事「預託・調教」というものに取り組んでいました。預託調教料は、草!という非常に島らしい預託です笑。

島内で出会った、おそらくヨナグニウマのメスであろうと思われる1頭。沖縄本島から知り合いの農家さんの牛舎にお引越ししてきた馬でした。与那国島と違って、自分たちの馬以外の馬には会わない久米島では、こういった馬飼い仲間という存在は珍しく、また、ヨナグニウマらしい!と、やっぱり近くにいる馬のことは気になる僕たちは早速会いに行きました。

 

話の中から、預かって乗れるようにしてみないかというお話があったので、今回初めてのお仕事にチャレンジしてみました。

自分たちのこだわりの中では、まずは放牧・青草・群という環境の中で慣らさせることから始めます。今まで1頭で小屋で暮らしてきた馬に、馬として自然の感覚を取り戻させるためです。




そこから、じっくりとコミュニケーション。この時間がいつも、どの馬とでもワクワク楽しい時間帯です。今回は、このあと与那国でスタッフになるくみちゃんが研修で来ていたので、一緒にこの楽しみを分かち合いました。

まず、人との偏ったお付き合いが長すぎるので、適切な距離を教えるところから。そして、お互いの合言葉を確認していきます。

いつも、研修生に伝えるのは、初めて調教に挑戦する馬は同性の馬がいいよということ。やはり同性として共感できるところが多くあると思うからです。

 

今回、僕にとっては初めての異性の馬の預託。期限が決まっていたからかもしれませんが、コミュニケーションすればするほど淡い気持ちが芽生えてしまいました。例にもれず、素晴らしい反応。そして、理解力。人に対する対応の変化を見るにつれて、どんどんこの馬を好きになってしまう自分がいることに気づきました。

 

返却の時、最後に今まで作った関係性と、乗馬の姿を披露して元のお家に帰っていく彼女に対する寂しさを心に押し込めながら、大いなる教訓を得ました。

 

異性の馬には惚れてまうから、気をつけなはれ。

 

預託調教に情は禁物。何はともあれ、見知らぬ馬とのコンタクトの時間は最高に楽しい時間。その時間をこれから仲間になる研修生と共に過ごせたこと。そして、これから「預託・調教」というお仕事もアライアンスメンバーのひとつの仕事の形態になっていけばいいなあと、自分たちの特色を活かした、ヨナグニウマアライアンスの預託・調教というのを皆で実践していけたら素晴らしいなあと思った日々でした。