読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





バックパッカーと馬② エジプト・シーワオアシス

ヨナグニウマふれあい広場

今回も引き続きエジプトから。

アジアから中東、アフリカまで、どの国に行っても、まだまだ日本よりも家畜を身近に感じることが多いです。

エジプトはイスラーム教徒が大半を占めるため、豚は少ないかもしれませんが、牛に羊にヤギ、ロバ、いたるところで家畜と出会います。今回はこのロバの馬車、ロバ車の思い出を書こうと思います。

 

馬が好きな人なら、馬に乗ったことがあるかもしれません。そして観光地などで馬車に乗ったこともあるかもしれません。乗馬が好きになった人は、馬に乗って自由に外へ出かけたこともあるかもしれません。

では、馬車に乗って自由にお出かけしたことがある人は・・・、あまりいないのではないでしょうか。

 

エジプト西部、リビアとの国境近くにシーワ・オアシスと呼ばれる小さなオアシス集落があります。現在は観光地化が進んでいると噂を聞きますが、当時、ここはいわゆる「砂漠」を味わいたい人にはうってつけの、オアシスの村でした。

郊外は見渡す限りの砂の海。ダンボールのそりで砂丘すべりをしたり、ファンタジー島と名づけられた絵に描いたようなオアシスへ出かけたり。クレオパトラ温泉という鉱泉もありました。

ここで、集落から郊外への交通機関として、または集落内のナツメヤシ畑などを巡る足として、使われていたのがロバ車でした。シーワでは「カレッタ」と呼んでいます。1頭のロバに小さな2輪の車。大人が4人乗るといっぱいいっぱいのかわいい車。御者はだいたい村の少年。この少年と行き先や料金を交渉して、案内してもらうというのが通常のパターンでした。

 

ロバやロバ車は、エジプトではまだまだ健在の交通機関。カイロ市街、自動車がびゅんびゅんと走る3車線道路にも、荷物を満載したロバ車が自動車に混ざって平然と歩いています。路地へ入っていくとゴミの回収業者がゴミをロバの背中に山積みにしていくシーンに出会います。農村部では、おじいさんが座布団引いただけのロバにまたがって畑仕事へ。

アラビア語ではロバは「ホマール」と言われ、ホマールは「おばか」みたいな意味でも使われています。また、カイロの下町では時折、ロバの強烈な、悲痛な鳴き声が響き渡ることもあります。馬が高貴な生き物とされる一方で、ちょっと格下の動物として扱われることが多いのですが、やっぱりかわいいですよね。

 

そんなロバとロバ車。さて、シーワ・オアシスを巡る為、ロバ車を借りましょう。

ほとんどの御者の少年は英語が話せる訳ではありません。片言の英語の出来る若者が交渉を担当して、話がまとまり次第少年に内容を伝えて出発、と言う場合もあります。語学能力のある子は、この御者を務めながら英語を覚えていったりもします。

当時の僕らは、なんとか直接少年とロバ車料金を交渉し、更に交渉(贈賄)して、ロバ車だけをレンタルしていました。つまり、少年に料金とは別にお小遣いを渡し、何時くらいに帰ってくるからこの辺でジュースでも飲んでいて、といった感じで口説き落として、御者無しの馬車だけ無理矢理借りていたのです!御者の少年が僕らに混ざって、後ろの席に座っていることもありました。とにかく、自分たちで動かしたかったのです。

 f:id:hisanomarkun:20160503210350j:plain

馬をバイクにたとえるならば、馬車は自動車だ、と言えるのじゃないでしょうか。

排気量の少ないロバ車ですが、乗り込んだ瞬間、これはもうマイカーを手に入れた時のような喜びが訪れます!!まさにワゴンです。馬が動力になるという点では乗馬と同じですが、御者も含め乗りあう人々が、かなりリラックスした状態で移動できる、という点は大きな違いでしょう。一人が運転を担当し、残りの仲間は後の車の中でくつろいだり、お菓子を食べたり、お喋りしながら、あっちへ行こう、いやこっちへ行こうと、あーだこーだ。

馬車に乗り込む仲間たち・旅人たちが作り出す、この何とも言えぬ空間が、馬(今回はロバですが)と結びつくことで、本当に、どこまででも行けそうな気分にさせてしまう。それが馬車の楽しいところだと思います。そして実際、小回りも効きますし、どこへでも入って行きます。(注:ロバ車のバックは難しかったです)草と水さえあればどこまででも進みます。

荷物は積み込める。屋根がついているので天候にも対応。疲れた人は、後で休める。車によって大きさや装備が変わってきますが、この空間が、旅の場として活躍していた地域や時代があったことに、思いが巡ります。ジプシーだったり西部の開拓者だったり・・・自動車を知っている僕らが感じる馬車と、当時の人々とでは、また感じ方も違うでしょう。

 

そんな、馬車をまるまる借りられてしまう素敵な体験が出来たのが、シーワ・オアシスでした。大きな馬じゃなくて、のんびりしたロバだから安心して出来たのかもしれません。もしもシーワ・オアシスに行く機会があったら是非、御者無しに(笑)挑戦してください!

・・・せっかくだからと砂漠の夕日を堪能し、あたりも薄暗くなりかけ、約束の時間を大分オーバーしてロバ車が集落へ戻ってくると、御者の少年が親父に怒られるから!と泣きそうな顔をして駆けてきた時もありました。約束は守りましょう!