足るを知る島
馬好きは困ったものだ、馬に乗ってみたり、馬を飼ってみたり、好きな馬の写真を携帯の待ち受けにしたり・・・。
春のとある晴れの日、ヨナグニウマの繁殖地、北牧場に馬が大好きで乗馬が大好きな人たちと出かけた。北牧場は島の北にあり、海に面している。何百年も昔から馬が世代交代を繰り返し生き続けている。字名を「馬+産」(これを一文字にする)「原」スンバルと呼ぶ。今は50数頭の馬がいる。牧場は30メートルの絶壁の上に見渡す限り広がっている。
一台の車で道らしき道をなぞってゆっくりと進む、するといました、いました馬の群れ、こちらの車を気にするでもなく、ひたすら頭を垂れて草を食んでいます。おやおや、傍らに小さな塊が横たわっています、仔馬ですね、1頭2頭3頭・・・。車を10メートル、5メートルと近づけます。馬はもう目の前、馬はまだ知らぬ顔、みんなでしばらく眺めます。おや仔馬が立ち上がりましたね、ちょっと眠そうな顔をしてこちらを眺めています。う・う・う・たまりません。可愛いということにも限度があります。我々はついに車を降りもっと近づくことにしました、「馬が嫌がって動き始めたら追わない」「馬が寄ってくるなら触ってもいい」という約束で。各々は好きな馬を目指してゆるり、そろりと近づきます。もうこれ以上近づくと動くかなというぎりぎりに挑戦しつつ、留まり眺めます。・・・静かな静かな時間が流れます。馬好き人の至福ここにあり!皆の顔にそう書いてありました。
北牧場@与那国島にて
馬が好きなら乗ってみろ。
乗馬が好きなら走ってみろ。
乗馬が好きなら手綱を緩めてみろ。
乗馬が好きなら馬を下りてみろ。
乗馬が好きなら鞍を外してみろ。
乗馬が好きなら馬を放してみろ。
乗馬が好きなら馬を眺めてみろ。
乗馬が好きなら馬を呼んでみろ。
馬が好きなら乗ってみろ。
与那国島には馬好きをうならせる「足る」がある。
2014年4月20日