日本最西端の与那国島で一人と一頭から始まった南の島の馬暮らし。
そこに集まった馬好きな若者たちが沖縄中に散らばり、
それぞれの馬暮らしを始めています。





ラブレター

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 この写真、今「うみかぜホースファーム」で一番馬に夢中な中二の子です。土曜日の午前の「キッズクラブ」が終わってもずっと馬の傍で語らっています。良い光景です。嬉しい光景です。

 そして今日は嬉しいお手紙を紹介します。もちろん本人の了解済みです。これも中二の子です。与那国島で我々が長年やってる「日曜町民乗馬の日」に2歳から通い、3歳で乗馬を始め、毎週通っていました。でも小3の時に大阪に引っ越しました。でもでも、大阪でも乗馬を続けていました。そして先日彼女から嬉し手紙が届いたのです・・・。

 マークンへ

 とーってもおひさしぶりです。元気ですか?まつりは元気で毎日あわただしく暮らしています。急に何かお手紙スミマセン。。

 何か最近よく将来について考えたり、与那国の馬のことがずーっと頭の中に入っていて、この夏休みのことをマークンに報告しようと思って手紙を書きました!!

 まつりは夏休みに一人で与那国に行ってきました。もう与那国には同級生が一人しかいませんが、馬のことだけをほとんど考えて行ってきました。

 *以下中略しますが、馬広場で数日間スタッフと馬のお世話をした様子や、昔のお気に入りの馬に再会したり、乗ったりしたことが書かれていました。そして・・・

 今年はいつもと違う夏休みが過ごせて、とてもいい思い出になりました。最後の最後までスタッフ気分にもなれました。6年生の夏休みにも与那国島に行った時から、将来は「ヨナグニウマふれあい広場」のスタッフになりたいと思っていましたが、今年又ヨナグニウマに会って、この気持ちがもっと強くなりました!! まつりは将来広場のスタッフになって、後を継ぎたいと思っています。

 今大阪に住んでいて、与那国馬に会う数が少ない分、大阪の馬と触れ合っていこうと思っています。

*中略。

 マークンは馬のスタッフになるためには何か免許が必要と思いますか? 教えてください。まつりも今ほんの少しずつですが「馬の動き」という本を買ってもらって勉強しています! 漢字が難しく読むのが大変なんですけど・・・・。

 最近はホームステイで外国に行って、外国の馬にも乗ってみたいと考えています。

スタッフのみなさん、マークン、体に気を付けて仕事頑張ってください。毎日忙しいと思いますけど、返事書けたらお願いします。ではまた!

 まつりより

 

 1992年から始まった「日曜町民乗馬の日」与那国馬が大好きな子供たちが大勢生まれましたが、高校入学と同時に島を出て、ほとんどの子が島に戻らずの中、こうやって島に戻って馬の仕事に就きたいという子が現れましたね。親方冥利に尽きます。という今回の「馬楽のすすめ」でした(前回の僕の回は「馬が苦」でしたが・・・)。もちろんこの手紙には本気で返信しましたよ。

                    親方マークンでした。

 

 

 

 

 

はじめまして!

今週の木曜日より、新たな馬仲間にリレーブログに参加してもらいます!与那国島から1頭の与那国馬「リク」と共に兵庫県稲美町という場所で馬暮らしを始めた通称「あんちゃん」です。


馬と共に暮らしながら、その町で小さな馬広場を始めて行きたいとの思いで馬暮らしを始めました。


馬を専門的に学んだことはないけれど、馬のことは馬に、そんな日々の奮闘記を綴ってもらいます。どうぞ、おたのしみに!


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今回がブログ書くのが初めてで

何から書いていいのか…

悩みます…。

 

とりあえず今回は、紹介でも!

兵庫県稲美町でよなぐにうまのリクと暮らしています、杏奈です。

大学までは20歳まではほんとに馬との関わりはゼロに等しく、ちいさいころに乗ったことあるかなー程度で、飲食関係の仕事しようかなと考えていたころ、22歳の秋、ふと牧場へ行こうと思いました(°_°)笑

飲食の仕事もしたい!けど、牧場で働くのも憧れるなーなんて。

もやもやするなら満足してから飲食に専念しよう!と思って長野へと1週間牧場研修に行きました。

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そこで過ごした1週間.ほんとに大変でした。朝は早いし、体力仕事。

けど、楽しかったんです(^^)

諦めるどころかますます興味がわいて…1週間なら楽しいに決まってる、じゃあ、今度は3ヶ月行こう‼︎

となり、調べて出会ったのが久米島馬牧場でした!

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そこで福太郎さんけいこさん、ハナとの出会いが私を馬の道へ…。

過ごしたのは2ヶ月半でしたが、凄く濃いくて毎日が充実して楽しくて、ハナの成長に感動して、そんな生活が羨ましくて私もいつか馬と生活できたらなーなんてお話していたら1頭どうか?と話がきて、今じゃなくてもいいと言われましたが、勢いも大事だと、あの時…と後悔もしたくなかったので不安もありましたが、勇気をだし決断しました。24歳春与那国へ、リクと出会いました。

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ボロ拾いをしていたら寄ってきて、人懐こいし優しい目で仲間の中では弱い立場、守ってあげたくなるような、そんなこでした。リクとなら生活できるような気がする!と決断して、9月もう1度与那国へ。

与那国でリクとの1ヶ月

これもまた濃いかった!笑

与那国での出会いもまた私をどんどん馬の道へと引き込んでくれました(^^)

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10月の19日

兵庫県稲美町でリクとの生活がスタートしたのです‼︎

 

与那国で生きてきたリクを

親や兄弟、仲間たちから引き離し

長い長い船旅

感じたことのない寒さ

見慣れない土地に

私の勢いでつれてきました。

私1人人間の都合ですが、

私はリクと共に暮らしたい、

私のわがままに付き合わせているリクにはたくさん我慢してもらうかもしれませんが、幸せだと思うこともたくさんしてあげようと決めています‼︎

 

そんな生活を

馬楽のすすめで書いていこうかと…

 

私の投稿をみて、

馬知らずな私をf:id:hisanomarkun:20161123215351j:image

監視してください、笑

 

 

歓びの中に。

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今朝のこと。

オモチャになっていた私の古い携帯(ガラケーですね)をいじっていた娘が。
ふとしたはずみに電源をつけてしまい…

お!これは!
と思いデータを見返すと、出てくる出てくる懐かしい写真たち。
その中にあったのが上の一枚。

このパズルのピースのような模様。
我が家のイースです(笑)

生まれた日の朝。

「し、白い…!!」
という衝撃の朝(笑)

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出自はどうあれ、新しい命を迎えるのは何よりの幸せですね。
親方マークンも嬉しそうです。

与那国に移り住んで広場の馬と関わるようになって良かったことのひとつは、
今そこにいる馬の過去も未来も見続けることができる(少なくともそう思える)こと。

内地で馬に携わっていたときは、その馬がどんな生まれでどんな風に育ってきたのか。
お母さんはどんな馬だったのか、お父さんは?
知りたくても滅多に知ることはできず、
いつまでここにいるのか、このあとどうやって生きていくのか…。
なんの保証も確信もありませんでした。

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でも与那国で馬と暮らして、そこに生まれてそこで育ち、子を生み育て、死んでいく。
生き物としては当たり前の流れにずっと関われる幸せを知って。
その安心感、自分が責任を持てる喜び。
馬の世代を越える繋がりを見る面白さ!

これは馬の産地であり、育成、仕事、暮らし、養老と全てひとところで行われている場所ならではの馬楽ではないでしょうか。

昔の人たちも同じように在来馬と暮らしたのかな。

馬が好きな人にはぜひ体感してもらいたい歓びなのでした。

久米島馬牧場
井上 恵子

ちなみに。

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現在のイース

アナタ大きくなったね~(笑)

馬から学ぶこと②

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民泊を始めてから、子供達があんなに朝早くから目一杯体を動かして馬のお世話を頑張ることに感動しています。

「明日朝のお世話に行くか?」の一言に、有無を言わさず即答。キラキラ目を光らせて答えるのです。

本当に豊かな気持ちになります。そのお陰で繰り上げて3時から仕事することになってもね(笑)。

10月11月と今年始めた民泊がたて続いている久米島です。



今回はグルーミングのお話をしたいと思います。馬達のコミュニケーションの中でも重要な意味をもつグルーミング。

時には挨拶、時にはご機嫌とり、時には毛繕い、時には孫の手の様にと色々なシーンで使われる馬の群れの秩序を守るために欠かせない行動だと思います。

このグルーミングですが、どちらかが完全に一方的にやってあげるというシーンはめったに見ません(うちの群れでは、野生馬ではあるのかな)。

ほとんどのシーンで相互にかきあっています。それが大人と子供でも、牡と牝でも、順位の高い馬と低い馬でも、力の強い馬と弱い馬でも。

そして、この掻き返すという行為は産まれたばかりの子馬でも、インプットされた行動のようにかならず行うのです(歯もないのに)。



いつもはやりあってる馬同士でも、お互いグルーミングしあってるところを見ると。何事も一方的ではいけないなあと考えさせられます。

感謝はしっかりと、相手に伝わるかたちで表さなければいけないと、馬の営みにいつも反省させられます。

シンノスケ

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ようやくカラッと清々しい気候になりました、
久米島からサノちゃんです。

今回は我が家から1頭の馬をご紹介します。
彼から学ぶ、馬楽です。

シンノスケ。

言わずと知れた(?)久米島馬牧場を代表する馬。
私たちにとってスペシャルな馬です。

何がスペシャルかって、もちろん、彼と出会ったことで馬牧場を始めた福ちゃんですから、そもそも全ての始まりの馬。

でもそれだけではありません。

彼と出会って、乗ったり一緒に何かをしたり、コミュニケーションをとった人は誰でも(馬初心者の人でも)みんな彼の素晴らしさに気が付くのです。

それはとても言葉では言い尽くせない沢山の魅力なのですが、私にとってシンノスケの素晴らしさ、それはいつも気付かせてくれること。
必要なタイミングで、思ってもいなかったことを。

本当に今まで何度も予想や先入観を覆されました。
期待をいとも簡単に、思いっきり越えてくれました。

初めてシンノスケに会ったとき、「え!こんなちっちゃいひょろっこいポニーで営業するの?!(福ちゃん正気か…?←心の声)」と思いました。
当時のシンノスケは、牛舎の隅っこで繋がれて牛と犬の間のような存在(笑)
体もあちこち不具合が。

半信半疑で、やるしかないと腹をくくり(笑)世話をし始め、乗り始め…。
歩くのすらおぼつかない彼に、「まあ、子供が乗って散歩できればいいかなぁ」と思っていた私。
それが。

油断していたら乗ったまま藪に突っ込んでいったときの冷や汗。
毎日ひたすら歩いていた山坂を、ある日とうとう駆け足で登りきったときの感動。
ヘビメタの生演奏ステージの横を、こちらの心配なんて屁にも思わぬ(失礼!)素振りで平然と子供を乗せて曳き馬した乗馬会。

無事に会場に着いたらもう満足だねーと話していたンマハラシーで、あれよあれよという間に勝ち上がり、緊張する私に対して冷静に的確に指示に応えてくれたシンノスケ。
あんなに乗っている馬を心強く思えたことはありませんでした。

1才でも乗れる馬。走ったらヨナグニウマ並みに走る馬。誰の話でも聞いてくれる馬。放牧地では自分の世界と他の馬への威厳を見せてくれる馬。

そして今、アトピー性皮膚炎で療養をしているシンノスケ。

こちらの勝手な気遣いで仕事から離してみたことで、状態を悪くさせてしまいました。
反省することは多いけれど、これもまた経験。

いつだって何かを気付かせてくれる。
考えるキッカケをくれる。
常に未来を教えてくれる。

私にとって、シンノスケはそんな存在です。
大切な大切な馬なのです。

久米島馬牧場
井上 恵子

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写真はどちらも我が家に来た頃のシンノスケ。(とベッカム。)

こどもとウマの可能性4

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すみません! 昨日投稿するつもりで今日になってしまいました・・・

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 ああ、気がつけばもう11月。今年は10月末まで真夏のように暑くて海馬遊びばっかりやってました。と、突然北風が吹きだし、一気に秋? いや、ここ本島の山の上は朝夕は冬みたいに寒くなります。

 

 さて、こどもと馬の可能性、しつこく続きます。

実は先日、動物介在教育・療法学会というところで、長年実施している保育園での馬介在教育について発表してきました。はい、ヨナグニウマがいかに子供に適しているか、も、しっかり話してきましたよ(^^)/。

 

 与那国ではもう30年近く、日曜町民乗馬や幼稚園、小学校の馬の授業で子供たちに馬に関連する様々な体験を提供してきましたが、保育園の馬介在教育プログラムとして確立させたのは沖縄本島での活動が初めてです。

 「子供たちの心身のバランスを回復し、健全な成長を促す」というのが主な目的で、身体のバランスはもちろんですが、メンタルな部分もエゴグラムでいうところの母性や父性、受容の心、子供らしい心などのバランスのデコボコを均したり、馬に対しても人に対しても、接するときはきちんと挨拶をして礼儀を尽くすこと、相手の立場を思いやってふるまうことなどの社会性も育むような仕掛けをつくったりしています。おかげさまで保育園さんには大変好評で、今では年間70~90回ほどプログラムを実施する機会をいただいています。

 

 短い時間の発表だったので、プログラムの全容は紹介できませんでしたが、なんとなんと、嬉しいことに発表は優秀賞をいただきました! 思いがけなくて、ひゃー、ビックリ! だったのですが、やっぱり受賞は嬉しいです。マークンが始めた馬広場の長年のこどもと馬との活動が、ようやく学術大会という場所で認識され始めた、というところでしょうか。

 

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 ヨナグニウマの活用法は本当にいろいろあります。初心者から上級者の乗馬トレッキングはもちろんですが、小柄なこと、そして育て方や調教次第でとても従順で素直な馬になり得る素質を持っている(ここ大事。<ヨナグニウマ>ならどの馬でもできるのではないのです)、という特性をフルに活かして、動物介在教育・療法の分野でももっともっと活用していければと思っています。

 

 そしてちょっと宣伝ですが、今回発表した動物介在教育・療法学会(Asian Society for Animal Assisted Educaton and Therapy 略して ASAET)では、動物介在教育にかかわる人材育成をしており、わたくしヒメもAAEのエデュケーターという資格を取りました。エデュケーターの下のAAEアシスタントを育てる講座も着々と準備が進んでいまして、今は犬が中心ですが、近いうちに馬分野の講座も実施できるかと思います。ご自分の犬や馬を介在動物として活躍させてみたい方、ぜひぜひASAETのページをのぞいてみてください。(ちょっと更新が遅いのが玉にキズですが・・・(・_・;)

 

http://asaet.org/

https://www.facebook.com/asaet2012/?fref=ts

 

 さて、涼しくなってきた沖縄。海馬が終わり、これからは動物介在教育・療法分野の活動の季節です! 今日も児童デイサービスの子供たちのところに馬たちを連れていってきまーす!

 

 

 

 

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 いつの間にか沖縄地方にも涼しい風が吹き始め、陽光の馬たちの美しいこと。

うっとりの瞬間です。持ち回りの「馬楽のすすめ」は久々の親方の登場です。

今回も昨年沖縄タイムスの「唐獅子」のコーナーに連載した「南の島の馬暮らし」の8回目を転載しようと思いますが。驚くことにこれって今年のこと? 

 

運動会の乗馬演技 

 「天高く馬肥ゆる秋」と、この原稿の冒頭を書き始めた日のこと。台風21号は9月28日に与那国島を直撃し、与那国島史上最大の風速を記録し、木々を倒し、家を飛ばし、去って行った。馬広場の小屋も飛んで行った。しかし幸いに人も馬たちも無事だった。

 南の島に生きる生き物たちは台風から身を守る術を身に付けている。馬もそうだ。馬たちは昼夜放牧で自由に暮らしているので、暑ければ木陰に移動し、風が吹けば森の中に移動する。そうは言っても、この台風は森全体を揺さぶり、隠れる所も無いはずだった。それでも耐えた。風のやんだ頃、馬たちは草原に出てきて、安堵(あんど)した。

 そんな台風の1週間前の日曜日には、僕らの活動の中で1番重要な行事があった。そう、小学校の運動会での乗馬演技の披露である。運動会で乗馬演技を演目として発表するなんて、日本でも唯一ではないだろうか。

 島には小学校が3校あり、最も生徒数の少ない比川小学校の今年の全校生徒はわずか10名。3年生以上が、週1回のクラブ活動で乗馬の練習をする。その数7名。校庭は芝生なので、乗馬には最適だ。比川小学校運動会での乗馬演技は、今年で16回目を迎えた。今回は3回のリハーサルしかできなかったが、子どもたちも必死に練習し、本番にこぎつけた。

 乗馬演技とはどんなものか? 皆さんには想像もつかないことだろう。比川小学校では、玉入れ競争や借り物競争、パン食い競走等々、運動会の演目を子供たちが馬に乗って披露している。ただ正当な乗馬演技といえば、カドリールやジムカーナである。カドリールは音楽にのって、複数の人馬が呼吸を合わせてさまざまなコースを整然と走り、人馬一体の美しさを披露する。ジムカーナバイクや車と同じく、決められたコースを時間で争う競技だ。運動会でも小学生ができるコースで実施することもある。

 運動会では毎年テーマを決めて独自の演技を考える。今年のテーマは「自分で何でもできますよ」だ。普通は飾り付けた馬に乗ってすまし顔で登場だが、今年は馬装なしの裸馬を引いての登場だった。その内容は次回までのお楽しみ。さて台風の後片付けに入ろうか。    2015年10月7日

 

 今年の運動会での乗馬演技の発表も、まるで昨年と同じように台風の襲来で、馬たちの大屋根が全壊するなどの大惨事となった。「馬楽」が「馬が苦」になりそうです。

                           親方、久野マサテル