馬に恋する若者が与那国島を目指すべき10の理由 ⑥
理由その5 馬と体ごと遊ぶことができる
『ホモ・ルーデンス』(ホイジンガ著)という本があります。ホモ・サピエンスは「知恵の人」という意味ですが、「ホモ・ルーデンス」というのは人類を「遊ぶ人」として定義したもの。著者は、人間のあらゆる行動を「遊び」という視点から分析しているのです。
人類とは「遊ぶ人」なんだ、と思うと、ちょっと気持ちが開放される感じがありますよねー。
人と馬の関わり方はいろいろあると思いますが、与那国の「広場」では、「馬と遊ぶ」感覚が中心にある、と思います。ルールや技術の習得は、二の次三の次。まずは、楽しく遊ぼう!です。
遊びだから、やることはその場で変わっていきます。新しい遊びも次々に発明されていきます。だからといって、やりたいほうだいになんでもしていいわけではありません。みんな(人・馬)が楽しく遊びに参加するためには、気配りや加減や注意が必要です。遊びって本気でやろうと思ったら、相当に頭も使いますよね。
この「遊ぶ」という感覚に、与那国馬の大きさはぴったりだと思います。体ごとぶつかって遊ぶのにちょうどいい。ある程度、身体能力のある人ならば、ぱっと飛び乗ったりできます。一緒に海で泳ぐこともできます。もちろん馬ですから、力比べをしたら圧倒的に馬のほうが強いです。そこは感覚を磨いたり、知恵をつかったりして、どうやったら馬とちょうどよく楽しく遊べるか、試みるわけですね。
自分より大きい、でも大きすぎない、与那国馬と体ごと向きあって遊ぶーそうしているうちに、五感が研ぎ澄まされ、筋肉が柔らかく発達し、バランス感覚が養われます。
それだけではありません。ホイジンガによると、遊びには、緊張・平衡・安定・交代・対照・変化・結合・分離・解決の要素が含まれているのだそうです。これって、人間の社会的な活動すべてにつながっていますね。
本気で馬と遊ぶ。それができたら、心も体も頭も、のびやかに育っていくように思うのです。そして、そのような基礎を持てば、人生の中で予期しない状況に向き合った時も、創造的にそのプロセスを楽しんでいけるのではないか・・・そんな気がしています。
(ちなみに、私は身体能力的にできないことはたくさんあるんですけれど、それはそれで、いろいろと馬と遊ぶことはできるんですよ)
馬たちもよく遊ぶ